倫理良書レビュー 2011年10月 島薗教授おすすめの図書
(吉田)松陰は、列強との交易で失った損害を朝鮮や満州で償うべきであると論じつつ、国体の優秀性を皇統の永続性に見出し、天皇親政がおこなわれていた古代における三韓朝貢という理想のイメージに基づいて、朝鮮服属を日本本来のあるべき姿として描き出しました。木戸(孝允)は日記のなかで、「速に天下の方向を一定し、施設を朝鮮に遣し、彼無礼を問ひ、彼若不服ときは、鳴罪攻撃、其土大に神州の威を伸張せんことを願ふ」と述べています。(p44)
そうであれば、自分たちがこれまで主体的に戦争にかかわって得た成果を、政府と全権委員会が台無しにしたことに対して、国民が呆然とした感覚を味わい、「国民の元気」で勝てた戦争はいったいどこへ行ってしまったのか、と失望感に襲われたために起こしたとみることができるでしょう。(p165)
HOME | 財団概要 | 道徳教育 | 生涯学習 | 表現教育 | 国際交流 | 研究助成 © Copyright 2004 公益財団法人 上廣倫理財団 All Right Reserved.