2012(平成24)年度、東北大学東北アジア研究センターに、
上廣倫理財団から寄付を受け、上廣歴史資料学研究部門が設置されました。
現在は第3期の活動が行われています。

東北大学東北アジア研究センター
上廣歴史資料学研究部門
東北大学東北アジア研究センター 上廣歴史資料学研究部門
Q1. 歴史資料の保全活動について教えてください。
A.

歴史資料とは、その名のとおり先人たちが積み重ねてきた歩みを教えてくれる証拠となる文献・考古・民俗などの資料を含んでいます。私たちの研究部門では、文献のなかで江戸時代以降に人々が書き残した古文書(こもんじょ)の調査・研究を進めてきました。全国各地には、そこにしかない歴史資料が数多くありますが、これらを未来へつないでいきたいと思っています。

調査 作業風景
 調査 作業風景
Q1. 歴史資料の調査と保存は具体的にどのように行われるのでしょうか?
A.

江戸時代から続く農家・商店・寺院・神社などから、「むかしの資料が出てきた」という情報をいただいて、調査に取りかかります。たとえば、おうちのタンスや押し入れ、土蔵などに手紙や本、帳簿などがぎっしり詰まっていることもあります。それらを1点ずつきれいにクリーニングして、保存性の高い中性紙封筒へ番号を付けて資料を入れ、通気性の良い収納箱に保管します。

撮影風景
 撮影風景
Q1. 古文書講座ではどのような資料を扱うのですか?
A.

古文書講座を実施している地域に関係する歴史資料をテキストにしています。現在、宮城県の仙台市・大崎市・白石市・美里町・大河原町で、地元のみなさんと一緒に解読の勉強を続けていますが、いずれも私たちの研究部門が歴史資料保全活動を進めているところです。参加者の方々がお住まいの町について、深く知っていただく機会にもなっていますし、講座で学んだことを、ほかのみなさんへもお伝えいただいて、「古文書から広がる輪」を大きくしていきたいです。

地域講演
 地域講演
Q1. 活動の理想モデルがあれば教えてください。
A.

歴史資料保全活動にはたくさんの人々の協力が欠かせません。たとえば、①資料所蔵者、②自治体、③地域住民、④歴史研究者、といったグループから成り立ちますが、この4者がお互いに知恵を出し合い、歴史を学ぶ人々が増えて、古い資料は大切なものだという認識を深めていきたいです。私はよく「歴史資料の保存は、誰も損はしませんよ」というお話しをしています。ネットワークが拡大するなかで、歴史専攻の大学生を中心に、将来を担う人材育成も加速していくだろうと考えています。

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